中途採用の給与はどう決める?経験・市場相場・社内賃金の考え方

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中途採用の給与はどう決める?仕事・役割、市場相場、経験・専門性から採用時給与と在籍者の処遇を考える。

中途採用で、会社から「今の採用相場では、この金額を出さないと人が採れない」と説明されることがあります。採用時の給与を市場に合わせること自体は珍しくありませんが、同じような仕事をしている既存社員との賃金差が大きくなると、その差をどう説明するのかが問題になります。

中途採用の給与は、経験や前職の年収だけで決まるわけではありません。この記事では、厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」をもとに、企業がどのような要素を見て給与を決めているのかを整理し、労働組合が社内の賃金制度と照らして確認したい点を解説します。

最も多く考慮されているのは「経験・能力・知識」

賃金決定で考慮した要素事業所割合
これまでの経験・能力・知識59.2%
年齢35.3%
賃金の世間相場34.2%
免許・資格30.6%
前職の賃金27.0%
学歴12.0%
一般労働者の転職者がいる事業所。複数回答のため、合計は100%になりません。

一般労働者の転職者がいる事業所に、賃金を決める際に考慮した要素を尋ねたところ、「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最も多くなりました。次いで「年齢」35.3%、「賃金の世間相場」34.2%、「免許・資格」30.6%、「前職の賃金」27.0%です。

また、最も重視した要素を一つ選ぶ設問でも、「これまでの経験・能力・知識」が38.4%で最多でした。

ここで注意したいのは、59.2%や34.2%が給与額の配分を示す数字ではないことです。複数回答なので、一つの事業所が経験と市場相場、前職賃金などを同時に考慮している場合があります。

給与額は、一つの基準だけでは決まらない

中途採用の給与を考えるときは、少なくとも次の三つを分けて見ると整理しやすくなります。

社内の仕事・役割

どの職務を担い、どの程度の責任を持つのか。社内ではどの等級に当たるのかを確認します。

外部の市場相場

同じ職種や経験の人が、他社でどの程度の給与を受け取っているのかを見ます。

候補者の経験・専門性

これまでの経験や資格、専門知識を、自社の仕事でどの程度生かせるのかを見ます。

この三つを分けて考えると、「採用競争が激しいから高く提示した」という説明と、「その人の仕事や等級に見合った給与なのか」という制度上の説明を切り分けやすくなります。

採用時給与を、社内の仕事・役割、外部の労働市場、候補者の経験・専門性から考え、採用時の加算や昇給ルールを同じ役割の在籍者と照合する。Union Strategyによる整理・提案。
図:Union Strategyによる整理・提案。三つの視点は給与額の足し算や、統計の割合を表すものではありません。

既存社員と比べるときは、仕事と等級をそろえる

中途採用者の給与が既存社員より高いからといって、それだけで不合理とは言えません。担当する仕事や責任、経験、専門性が違えば、給与に差がつく理由はあります。

一方で、同じ等級で同じような役割を担っているのに、採用時期の違いだけで大きな差が続いている場合は、会社に確認したい点があります。

  • 中途採用者をどの等級・職責で採用しているか
  • 採用時に、市場調整のための加算や手当を設けているか
  • その加算は基本給に組み込まれるのか、一定期間だけの手当なのか
  • 同じ等級の既存社員と比べて、どの程度の差があるか
  • 採用後の昇給や評価は、既存社員と同じルールで行われるか

採用時の上乗せが続くなら、社内の賃金水準も確認する

採用市場に合わせて中途採用者の提示額を上げる一方、既存社員の賃金表を長く見直していない会社もあります。もし同じ仕事・同じ等級で採用時期による差が広がっているなら、中途採用者の給与だけでなく、社内の賃金レンジそのものが現在の市場水準と合っているかも確認が必要です。

このとき、「中途採用者の給与を下げるべきか」という話だけにしないことが重要です。会社が市場相場を理由に高い給与を提示しているのであれば、その市場相場を既存社員の処遇にもどう反映するのかが、労使で確認する論点になります。

市場相場と自社賃金は、同じ条件で比べる

他社の給与や採用相場と自社を比べるときは、基本給、手当込みの月給、賞与を含む年収を混ぜないようにします。職種、経験、年齢、企業規模、地域なども、できるだけ条件をそろえて比較します。

詳しい比較方法は「自社の賃金は市場水準並み?他社と比べるときの見方」、等級との関係は「等級別賃金とは?」で解説しています。春闘で賃金水準を考える場合は春闘総合ガイドも参照してください。

中途採用の給与を見るときに大切なのは、採用者の金額が高いか低いかだけではありません。仕事・等級・給与項目をそろえて比べたとき、その差を会社が説明できるか。さらに、外部の市場相場を採用時だけでなく、既存社員の賃金制度にもどう反映するのかを確認することです。

出典

注記:統計は、個々の企業で給与を決めるルールを示すものではありません。採用時給与と既存社員の賃金をどのように照合するかという部分は、Union Strategyによる整理・提案です。

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