厚生労働省が2026年9月11日に公表した夏のボーナスの集計で、民間主要企業の平均妥結額は97万6,043円となり、3年連続で過去最高を更新しました。どのような企業の、何を表す数字なのでしょうか。発表の内容を整理し、自社の賞与を考える際の使い方を解説します。
主要企業365社の平均妥結額が3.12%増加
今回公表されたのは「民間主要企業夏季一時金妥結状況」です。一時金は、ここでは夏の賞与を指します。「妥結額」は、労使の交渉で合意し、妥結時に明らかになった金額です。
対象は、資本金10億円以上、従業員1,000人以上で労働組合があり、妥結額などを把握できた365社。平均妥結額は前年の集計より2万9,574円、率で3.12%増えました。平均要求額は99万7,612円でした。厚生労働省の発表
| 2026年夏季一時金の主な結果 | 公表値 |
|---|---|
| 集計企業数 | 365社 |
| 平均妥結額 | 97万6,043円 |
| 前年の集計からの増加額 | 2万9,574円 |
| 前年の集計からの増加率 | 3.12% |
この結果から分かるのは、労働組合のある主要企業で、夏の賞与の妥結額が引き続き増えたことです。企業規模が小さい職場、労働組合のない企業も含めた、全国の会社員の平均支給額を示す調査ではありません。記事や組合ニュースで紹介するなら、「夏のボーナス平均」とだけ書かず、「厚労省の民間主要企業集計」と添えると対象が伝わります。
また、平均妥結額は、個人の口座に振り込まれた金額とは異なります。自分の明細と比べるときも、税や社会保険料を差し引いた手取り額を、そのままこの数字に並べないようにします。
「いくら増えたか」と「何か月分か」は、別の情報
賞与は、金額で伝えられることもあれば、「基本給の何か月分」という形で説明されることもあります。今回の発表の中心は妥結金額です。金額の伸びだけから、支給月数も同じように増えたとは判断できません。
たとえば、自社の賞与が「算定基礎額×支給月数」で決まる制度なら、月数が据え置きでも、賃上げに伴って算定基礎額が増えると賞与額は増えます。算定基礎額とは、賞与の計算に使う基本給などの金額です。何を含めるかは自社の規程で確かめます。
さらに、業績連動の加算や個人評価による増減がある制度では、それらも最終的な額に影響します。同じ「増額」でも、毎月の賃金が上がった結果なのか、賞与の月数を改善したのか、今回限りの加算なのかで、翌年への残り方が違います。

これは厚労省が今回の増加要因を分析した結果ではなく、賞与の算式を読むための説明です。公表された3.12%を、ベアの影響や月数の改善に分けることは、この発表だけではできません。
自社では、まず前年からの増え方を確かめる
自社の結果を整理するには、前年と今年の賞与について、同じ対象者または同じモデル条件で次の項目を並べると分かりやすくなります。
- 支給額:実際にどれだけ増えたか。
- 算定基礎額と支給月数:どの計算要素が変わったか。
- 業績・評価による加算や減算:全員に共通する変更か、対象が限られる変更か。
- 特別加算の扱い:今回だけか、翌年以降も制度に残るか。
この順に見ると、会社が説明する「支給額の増加」と、組合が実現したかった改善との関係を整理できます。生活費を補う金額を求めていたのなら、対象者の支給額が目標に届いたかが論点です。業績に応じた還元として月数の改善を求めていたのなら、その月数への回答も確認します。
外部の平均額を使う場面では、比較対象の選び方も変わります。今回の主要企業集計は、大手の交渉結果の動きを知る材料になります。自社と近い業種・規模の水準を知りたい場合は、所属する産業別労働組合の集計や、条件を確認できる他社の回答を組み合わせます。
「平均に届いたか」だけで賞与の十分さは決まりません。一方で、過去最高という発表を単なる参考情報として終わらせる必要もありません。大手で増額が続いたという事実と、自社ではどの要素が、誰に、どれだけ増えたかを並べることが、今回のニュースを生かす出発点です。
賃金・賞与・福利厚生を含めた処遇の全体像は、基本給・賞与・福利厚生の違いと役割で整理しています。
出典・参考資料
- 厚生労働省「令和8年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表します」、2026年9月11日公表。集計対象、平均妥結額、増加額・率、平均要求額、過去最高の更新を参照。
出典確認日:2026年9月21日。賞与の算式の整理と自社での活用方法は、Union Strategyによる解説です。
