副業制度はどう作る?申請・労働時間・健康管理の基本ルール

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副業の制度を考える際の、申請、時間管理、健康管理という三つの論点。すべての副業に同じ法的扱いが適用されるという意味ではありません。

副業制度は、社員が勤務先以外でも働く際の条件や手続きを定める仕組みです。他社でアルバイトをする働き方も、業務委託で仕事を請ける働き方もあります。会社が制度を導入・見直すとき、何を決めればよいのでしょうか。厚生労働省の指針と企業調査から、基本となるルールを整理します。

副業を認める範囲と、制限する理由を示す

副業をする目的には、収入を増やすこと、社外の経験を得ること、得意な分野で働くことなどがあります。本人の目的が違えば、希望する仕事や働く時間も違います。

厚生労働省のガイドラインは、勤務時間外の過ごし方は基本的に労働者の自由であることを踏まえ、原則として副業・兼業を認める方向で検討する考え方を示しています。一方で、本業への支障、秘密の漏えい、競業による利益侵害、会社の信用を損なう行為などは、禁止・制限を検討する理由になります。ガイドライン、3・6~8ページ

制度を作る際には、認める仕事の範囲と、制限する理由を就業規則などで説明します。「会社が認めた場合に限る」だけでは、社員は申請できるか判断しにくくなります。組合は、たとえば何が本業への支障に当たるのか、競業のおそれを誰が何に基づいて判断するのかを、規程案の段階で確かめられます。

会社側にも、業務への影響や情報管理、労務管理に対応する必要があります。副業を希望する人が申告しやすく、会社も必要な情報を把握できる手続きにすることが、制度の土台です。

雇用される副業か、業務委託などの副業かで扱いが変わる

他社に雇われて働く場合と、雇用されずに仕事を請ける場合では、労働時間の扱いが異なります。

本業と副業の双方で労働基準法の労働時間規制が適用される場合は、両方の労働時間を通算します。会社が違っていても、時間を足し合わせて法定労働時間などの適用を確認するためです。実態として雇用されていないフリーランスなどの仕事は、この通算の対象にはなりません。ただし、契約書が「業務委託」でも、実際の働き方が雇用に当たる場合は、名称だけでは判断できません。ガイドライン、5・9ページ

労働政策研究・研修機構(JILPT)が2026年9月に公表した8社へのヒアリング調査でも、雇用型まで認めるか、非雇用型に限るかが制度設計上の分かれ目になっていました。これは調査対象企業の事例であり、非雇用型に限定することがすべての会社に適しているという結論ではありません。JILPTの調査概要

本業と副業の双方に労基法の労働時間規制が適用されるときは労働時間を通算する。実態が非雇用なら通算対象外だが長時間化への配慮は必要。いずれも健康相談と必要な勤務調整を行う。
厚生労働省のガイドライン等を基にUnion Strategy作成。非雇用かどうかは契約名だけでは判断できません。

申請時には、仕事内容と働く時間を確認する

副業の申請・届出では、何の仕事を、どの契約形態で、いつ行うのかを把握します。厚労省のパンフレットは、業務内容に加え、通算対象の場合には契約期間、所定労働日・時間、時間外労働の見込み、実績の報告方法などを確認項目として挙げています。パンフレット、10~11ページ

自社の書式を点検するなら、「副業先」「仕事内容」だけで申請が終わっていないかを見ます。開始時の予定と、その後の実際の勤務を別に確認できれば、途中で仕事が増えたことも分かります。申請に対する回答方法や、仕事・契約が変わった際の届出も決めておくと、社員が利用する際に迷いにくくなります。

労働時間の通算は、記録を集めるだけでは終わらない

通算が必要な働き方では、副業先の時間を本人の申告などで把握し、自社の労働時間と合わせて管理します。通算の結果、法定時間外労働に当たる場合には、36協定(法定時間外労働などに必要な労使協定)や割増賃金の扱いの確認も必要です。「副業先の残業代は、いつも副業先が払う」とだけ決められるものではありません。原則的な通算方法では、所定労働時間は契約の先後、所定外労働時間は実際に行われた順に通算します。厚労省「労働時間の通算のポイント」

制度の導入時には、勤怠の担当者がこの処理を行えるかを確認します。厚労省は、労使の手続き負担を軽くするための「管理モデル」も示しています。採用する場合は、原則的な方法との違いと適用の条件を確認したうえで、本人への説明と手続きを整えます。厚労省「副業・兼業」

健康管理は、副業の契約形態にかかわらず考える

通算の対象外であっても、働きすぎへの配慮が不要になるわけではありません。厚労省は、申告などで就業時間を把握し、長時間にならないよう配慮することが望ましいとしています。また、副業を行う人と話し合い、状況に応じて時間外・休日労働を抑制するなど、健康確保に必要な措置を講じるよう求めています。ガイドライン、9ページ企業向けリーフレット

組合が確認したいのは、働く時間を申告した後や、不調を相談した後に、どのような対応を受けられるかです。相談先、健康面の専門窓口へのつなぎ方、本業の残業や業務量を調整する方法まで用意されていれば、利用者は困ったときの動き方が分かります。副業先の勤務調整が必要な場合は、本人を通じた相談など、相手先との調整も考えます。

制度案を読む順番は、認める範囲、申請の方法、開始後の時間管理、健康面の対応です。この四つがつながっていれば、副業を始められるかだけでなく、無理が生じたときにどう働き方を変えられるかも説明できます。

出典・参考資料

制度資料の確認日:2026年9月21日。本稿は副業制度の設計に必要な基礎を扱い、税・社会保険の個別手続きや、個々の副業を認めるべきかの判断は扱っていません。

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