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ジョブ型人事とは?給与・評価・異動はどう変わるのか

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仕事と責任を軸に、給与、評価、配置を考えるジョブ型人事の概念図。個別の制度設計は会社で異なります。

「ジョブ型の人事制度に変わる」と聞いても、自分の給与や働き方がどうなるのかは、名前だけでは分かりません。ジョブ型は、仕事の内容や責任を明確にし、それを軸に人の配置や処遇を考える仕組みです。従来の制度との違い、富士通の取り組み、導入時に給与や評価のどこが変わるのかを説明します。

ジョブ型は、仕事を軸に人事制度を組み立てる考え方

人事制度には、誰にどの仕事を任せるか、何を評価するか、いくら支払うかという、つながりのある仕組みが含まれます。ジョブ型では、担当する職務や責任をはっきりさせ、そこに必要な人材や報酬を対応させることを重視します。

仕事を明確にする際に使われるのが、職務記述書です。ジョブディスクリプションとも呼ばれ、担当業務、期待する成果、権限や責任、必要な知識・経験などを記します。単に日々の作業を列挙するだけでなく、そのポストに何を任せるのかを説明する資料です。

年齢や勤続、仕事を行う能力に重きを置いた制度から移る場合には、現在どの仕事を担っているかの比重が高まります。ただし、日本企業の制度は会社ごとに設計が異なります。ジョブ型という呼称だけから、年功的な要素がすべてなくなる、配置転換がなくなる、とまでは判断できません。

厚生労働省の職務給事例集でも、職種を越えて配置転換する会社と、原則として同じ職種内で異動する会社の両方が紹介されています。仕事に応じた賃金制度と、異動の範囲は、別々に確かめる必要があります。「日本における職務給 取組事例集」B社・C社

富士通は、職責の高さと報酬水準を対応させている

実際の仕組みを、富士通の公開情報で見てみます。

同社は、職種と職責の高さによって職務を区分し、職責の高さに応じた「FUJITSU Level」を設定しています。報酬水準は、このレベルに応じて決まる仕組みです。また、2023年4月には、日系・外資系を含む市場での競争力を考え、報酬水準を見直したと説明しています。富士通「Financial Well-being」

この事例では、社内での職責の位置付けと、社外での報酬水準を組み合わせています。「仕事内容を明確にする」だけでなく、その仕事をどう評価し、どの給与水準を設定するかまでが制度の一部です。

会社がジョブ型を導入する狙いにも、専門人材を採用しやすくすることや、役割に応じた処遇を明確にすることなどがあります。その狙いを理解すると、職務の定義や報酬の変更が、何の課題を解決しようとしているのかを読み取れます。

給与は、職務と評価の両方で変わり得る

ジョブ型の説明では、職務の評価と、人の働きぶりの評価を分けると分かりやすくなります。

職務の評価は、その仕事の責任や難しさなどを評価することです。仕事に対応する等級や報酬の範囲を考える土台になります。

人の働きぶりの評価は、任された仕事で、どのような成果を上げ、どのように取り組んだかを見ることです。制度によって、同じ等級内の昇給や賞与などに反映されます。

職務の評価は仕事の責任や難しさを見て等級・報酬範囲の土台とする。働きぶりの評価は成果や行動を見て昇給・賞与などへ反映する。具体的な仕組みは会社ごとに異なる。
ジョブ型を理解するために、仕事そのものの評価と、任された人の働きぶりの評価を分けます。Union Strategyによる整理。

したがって、ジョブ型は「全員を売上成績だけで評価する制度」という意味ではありません。富士通の評価制度では、成長、行動、それらを通じて生み出したインパクトを総合的に評価するとしています。同社の評価・処遇の説明

自社の制度を見る際も、何が仕事の等級を決め、何が毎年の評価を決めるかを分けて読みます。チームへの貢献や人材育成が求められる職務なら、それが職務の定義や評価項目にどう含まれているかも理解したい点です。

導入すると、給与は上がるのか、下がるのか

制度の名称だけでは決まりません。新しい職務の位置付け、その職務の給与水準、個人評価、旧制度からの移行措置によって変わります。

移行措置には、新制度の給与が現行額を下回る場合に、差額を補う調整給などがあります。補う期間や対象は会社ごとに異なります。

厚生労働省の事例集にあるD社では、出向から戻る際に等級が下がった社員について、調整給で月例給の減少を防いだ一方、等級に連動する退職金ポイントなどが下がったと報告されています。匿名企業の一例であり、ジョブ型全般の結果を示すものではありません。同事例集・D社

「当面の給与は維持する」と説明されたときは、基本給だけか、賞与や退職給付にも影響があるかを確認します。移行直後に同額でも、調整給が縮小・終了した後や、次の昇給時に違いが出ることがあるためです。

新旧制度を比べるには、同じ仕事と評価が続く場合の給与を、項目別に並べた資料が役立ちます。基本給、手当、賞与、退職給付を分ければ、制度変更そのものが収入に及ぼす影響をつかめます。これはUnion Strategyが提案する比較方法です。

異動するときは、次の仕事と給与を一緒に見る

仕事と報酬の結び付きが強まると、別の仕事に移る際のルールも大きな意味を持ちます。より重い責任を担う場合は、職務の変更をいつ認定し、いつから給与に反映するのか。組織再編などで今の仕事がなくなる場合は、次の職務をどう決めるのか。こうした仕組みが働き方に関わります。

本人が希望する異動と、会社が求める異動で扱いが異なることも考えられます。職務の選択肢、必要な研修、異動までの準備期間がどう用意されるかを見ると、給与額だけでは分からない制度の使い勝手が見えてきます。

労働組合が制度改定案を読むときは、職務の定義、給与表、評価基準、異動と移行措置の規定をつなげて確認します。仕事に見合う処遇が分かりやすくなるか、責任の変化が給与に反映されるか、職務変更時にどのような選択ができるか。その具体的な仕組みを理解して初めて、導入案を評価できます。

等級と賃金表の基本的な関係は、等級別賃金の仕組みでも説明しています。

出典・参考資料

  • 富士通「Financial Well-being/評価・処遇」。掲載ページに公表年月の記載なし。FUJITSU Level、2023年4月の報酬水準見直し、評価制度Connectの説明を参照。掲載ページ
  • 厚生労働省「日本における職務給 取組事例集」、2025年3月発行。B社・C社の配置と賃金、D社の調整給と退職金ポイントの事例を参照。PDF

出典確認日:2026年9月21日。制度の読み方と新旧比較の方法はUnion Strategyによる整理・提案です。

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